キーワード検索

害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修

害虫辞典

カブラハバチAthalia rosae ruficornis

カブラハバチはハバチ科Tenthredinidaeハグロハバチ亜科に属するハチで、カブラハバチの成虫日本全国に分布し、 幼虫はアブラナ科植物の害虫です。
成虫は体長約7mm、体は橙色で、頭部は黒色、翅は淡黒色を呈しています。橙と黒の配色は有毒なことを敵に認識させる「警戒色」ですが、カブラハバチは毒針という武器を持っていません。別の方法で自分を有毒にしているのです。
カブラハバチの成虫は雄雌ともにクマツヅラ科植物のクサギに誘引されて集まり、葉の表面をかじって食べます。しかし、クサギの葉は餌ではありません。葉には微小なマッシュルーム形の毛茸<もうじょう>が生えており、カブラハバチはその内容物を摂取するのです。内容物にはテルペン類のクレロデン ドリンが含まれ、これを体にたくわえて捕食者への防御物質にします。クレロデンドリンは鳥やトカゲを寄せつけない忌避力をもっています。