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害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修

害虫辞典

センチニクバエ(Boettcherisca peregrina(ROB.-DESV.)

センチニクバエはニクバエ科に属し、センチニクバエ大型で成虫の体長は 9~11mm、灰色で胸背に3本の黒い縦線をもち、腹部は市松模様、複眼は朱色です。日本全国に分布しています。
ニクバエ類のくらしで大きな特徴は卵胎生(らんたいせい)をすることです。卵は母体内でふ化し、1齢幼虫が生まれてきます。
幼虫が育つ発生源は便池、畜舎、動物の死体や糞、動物質を多く含んだ厨茶です。発生のピークは7・8月の盛夏であり、夏季汲取便所の便槽に生息するウジの 大部分はセンチニクバエの幼虫です。
秋、発生源近くの土中にもぐった成熟幼虫は蛹化し、完全な休眠状態になった蛹で越冬します。センチニクバエの生活史はイエバエ科やクロバエ科とずいぶん違 います。
ニクバエの仲間は日本に107種も生息し、センチニクバエ以外の重要種はゲンロクニクバエ、ナミニクバエなどです。