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害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修

害虫辞典

カツブシチャタテLiposcelis entomophilus Enderlein

カツブシチャタテはコナチャタテ科に属し、世界各地に分布する種類で、日本ではカツブシチャタテヒラタチャタテに次いで多いといわれています。和名で鰹節でよく見られることにちなんだものであり、英名でもDried fish booklouse (乾魚のチャタテムシ)と呼ばれます。
 成虫は体長1.0-1.5ミリ、淡黄色で腹部背板の第3、4節の後縁と第6~9節の前縁に赤褐色の横帯があります。翅は退化して無翅です。
 熱帯地方では野外にもすみ、腐葉土、木の葉、洞窟や鳥の羽毛で発見されますが、日本ではもっぱら家屋内にすんでいます。各種の乾燥食品、動植物の標本、書籍を加害するほかカビを食べます。本種は博物館や美術館における発生頻度が高く、文化財の害虫として要注意です。
 カツブシチャタテの発生を抑えるには多湿にならないようにすることが基本です。