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害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修

害虫辞典

トビズムカデScolopendra subspinipes mutilans L.Koch

トビズムカデはオオムカデ目<もく>Scolopendromorpraのオオムカデ科トビズムカデScolopendridae に属する大型種で成長すると体長15センチに達します。頭部が鳶<とび>色を呈しているのでトビズ(鳶頭)と命名されました。胴の背面は黒褐色、腹面と歩脚の数は21対42本です。頭の両側には各4個ずつの単眼をもっていますが複眼はありません。本州、四国、九州、沖縄に分布しています。
メスは夏季に落葉の中で産卵し、体をS字状にまるめて約50個の卵を多数の歩脚で包んで保護します。卵期間は約20日間、ふ化した幼虫が2 回脱皮して巣立って行くまで約2ヶ月間母親は食物をとらず育児に専念します。幼虫は脱皮を10回以上も重ねて3-4年がかりで成長をとげます。
トビズムカデは人家内に侵入することが多く、咬まれる被害がよく起こる種類です。