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害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修

害虫辞典

クモの仲間 

8本足で、頭と胸の区分がない。クモは昆虫とは違うんです
クモは節足<せっそく>動物門<もん>・クモ綱<こう>(蛛形綱<しゅけいこう>)の真正クモ 目<もく>セアカゴケグモAraneaeに属し、世界から約30,000種、日本からは約1,100種記録されています。漢字は蜘蛛と書き、英名は spiderです。
昆虫との相違点を挙げると次の5つになります。

(1)昆虫の脚は基本的に3対6本、クモの脚は4対8本です。昆虫の脚は5節、クモの脚は7節から形成されています。
(2)昆虫の体が頭・胸・腹の3部からなりたっているのに対してクモでは頭部と胸部の区分がなく、体は頭胸部と腹部の2つに分かれています。
(3)クモはすべて翅を欠き無翅です。
(4)クモは複眼<ふくがん>を欠き、単眼<たんがん>が8個あります。
(5)クモには触角がなく触肢<しょくし>をもっています。

クモの約6割は網を張る「造網<ぞうもう>性」で、残りは網を張りません。しかし、網を張らないクモも必ず糸を生活に使います。クモの糸は腹 部末端の糸疣<いといぼ>(出糸突起<しゅっしとっき>)から出されます。大部分のクモは3対の糸疣を持ち、多数の吐糸 管<としかん>から粘液状の物質が分泌されて空気に触れると固まって糸になります。カイコやミノムシは糸を出す昆虫ですが、昆虫の場合すべて 糸は口から吐<は>きます。

円網、皿網、棚網、条網、さまざまなタイプのクモの 網
クモの網は「住居」と獲物を捕える「罠<わな>」を兼ねたものです。網の形状は大別して4種類あり、アシダカグモその中で最も代表的なものは「円網<まるあみ>」です。円網は縦糸<たていと>と横糸<よこいと>でつくられています。中央から放射状に 引かれたものが縦糸、それを連ねて渦巻<うずまき>状に引かれたのが横糸です。横糸にはとりもちのような粘球<ねんきゅう>が無 数につけられていますが、縦糸には粘り気がありません。クモは縦糸の上で行動し、横糸の上を歩くことはないようです。もし横糸にふれても、クモの体や脚に は油状物質があって粘球に絡まるのを防ぐしくみをもっています。
サラグモ類が作るのは「皿網<さらあみ>」です。浅い皿、深い皿、上向きの皿、下向きの皿などがあります。タナグモ類は樹木の枝や家の隅など に棚状の「棚網<たなあみ>」を張ります。棚網には必ずトンネル状の形をした住居がついています。マネキグモやオナガグモの「条網<す じあみ>」は糸を数本引いただけの簡単な網です。

なかには網を使わずに生活するクモたちもいます
網は張らずに住居を作るクモがいます。フクログモの仲間は木や草の葉を折り曲げて居室と産室を作ります。地中に巣を作るのはジグモ、トタテグモや原始的なキムラグモです。
水中の草の間にエアステーションを作るのはミズグモです。ドーム型の空気部屋が住居であり、産卵や育児もこの中で行います。
ハエトリグモの仲間やアシダカグモは一定の住居を持たず、地表や屋内を歩きまわって狩りをする「徘徊<はいかい>性」のクモです。
クモはすべて肉食性で、生きている昆虫や小動物を餌にします。鋭い牙で獲物を捕らえ、口から出した消化液で獲物をとかして吸い込みます。「体外消化」という特異な摂食法です。
クモは発育過程で、昆虫のような変態をおこないません。また、クモはいずれも卵生<らんせい>で、卵は糸で作った卵嚢<らんの う>の中に保護されています。