キーワード検索

害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修

害虫辞典

シロアリ 

シロアリの先祖は2億年前の原ゴキブリ類から分化
シロアリの仲間は分類学上シロアリ目<もく>(等翅目<とうしもく>)Isopteraとしてまとめられ、ヤマトシロアリ世界から7科約 2,200種、日本から4科18種記録されています。
シロアリは白い蟻を意味し、英名でtermiteの他にwhite antとも呼ばれ、膜翅目<まくしもく>のアリに近い昆虫と思われがちですが、ゴキブリやカマキリに近縁な昆虫です。
シロアリの先祖は2億年前に原<ゲン>ゴキブリ類から分化したといわれ、オーストラリアに現存するムカシシロアリ科のダーウィンシロアリの有翅虫はゴキブリに似た翅脈<しみゃく>を持ち産卵習性もゴキブリに類似しています。さらにクチキゴキブリは朽木<くちき>中に集団生活を営み、共生原生動物の助けで木材を消化しており、シロアリと近縁な証拠になっています。

シロアリには副女王と副王が存在、女王らに代わって 生殖行為も
シロアリはアリに似た社会生活をおこない生殖階級と労働階級の分業が成立しています。しかし、アリの労働階級が蛹を経たメスの成虫であるのに対して、不完全変態のシロアリの場合、労働階級の働きアリと兵アリはすべて若虫(ニンフ)であり、それぞれにメスとオスがいて成虫になることなく一生を終えます。また、アリのオス成虫は繁殖期にのみ現れますが、シロアリの巣にはつねに生殖階級の雌雄がいて繁殖を繰り返しています。メス(女王)の腹部は肥大・伸長し、ヤマトシロアリでは10数mm、イエシロアリでは40mmに達して10年以上の寿命を持ち、一生に100万個以上の卵を産みます。
さらに、シロアリでは第2次生殖虫としての副女王と副王が存在し、女王や王の傷ついた時に代わって生殖をおこないます。働きアリ(職アリ)は巣や蟻道(ぎどう)を作ったり、修理・清掃・餌の採取・運搬・保育をするのが役目です。
アリの場合、兵アリのいるのは限られた種類だけですが、シロアリの仲間では必ず兵アリがいて外敵からの防衛などの役を果たします。

特にヤマトシロアリとイエシロアリが大きな被害を与 えます
シロアリとアリの形態的な違いは次の諸点です。まず、有翅虫(生殖階級)の翅で区別イエシロアリ・兵蟻できます。アリでは 前翅<ぜんし>が後翅<こうし>より大きく翅脈<しみゃく>が太くて少ないのに対して、シロアリでは前翅と後翅が同 形同大で細くて数の多い翅脈を持っています。等翅目<とうしもく>という名の由来です。
次に、アリでは腰の部分にくびれがあり、シロアリにはくびれがありません。さらにアリの触角は「く」の字状を呈していますが、シロアリの触角は数珠状で す。
日本に住む18種のシロアリで建築物の建材を加害するのはヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリ、タイワンシロアリ の5種であり、特にヤマトシロアリとイエシロアリが大きな被害を与えます。
ヤマトシロアリやイエシロアリは樹種によって嗜好性を異にします。アカマツ、クロマツ、ベイマツなどの松材は加害されやすく、アオモリヒバ、ヒノキ、スギなどは加害されにくい木です。含有するヒノキチオールなどの植物精油が持つ忌避力のためと思われます。

シロアリ5種の見分け方
シロアリの種類を同定するのには被害場所から兵アリを採取して、頭部の形で見分けるのが最も簡便で確実な方法です。